砂漠の夜の幻想奇談


ファリザードと同じ、緩く波打つ茶髪。

快活そうな瞳。

口元は特にシャールカーンと似ている。

体格は細めだが程よい筋肉がついており、宮廷育ちのお坊ちゃんというよりも体力勝負が得意な軍人という印象だ。


「此度は突然すまなかったね。騒がしくしてしまった」

「いや。そちらこそ、遠路はるばる、よく来てくれた」

「ふふ、可愛い姪っ子が心配でね。それに一度、君に会って話がしたくて」

「話?」

ルームザーンは笑みをおさめ、真剣な眼差しでシャールカーンを見つめた。


「姉上……アブリザ王妃が、亡くなったんだって…?本当か?」


「っ……」

問われた瞬間、シャールカーンの胸がドクンと反応する。


「しかも、前王を殺したと…」


「………ああ…」


暗い表情で、やっとのこと声を絞り出す。


「そうか…」

納得するようにルームザーンは目を閉じた。

「噂は真実だったのか。オマル王が崩御して君が王になったと知らせを受けた時は喜んだけど、まさか姉上が…」