「放して…!」
品よく衣服がはだけて曝されている彼の白い胸板を一生懸命押すも、状況は変わらない。
「“一瞬でも愛しく思ったら、その女を抱け”。俺の父上のありがたい教えだ」
サフィーアはオマル王が女性好きで有名なことを思い出し、叫んだ。
「最低!だからイスラム教徒は嫌なのよ!貴方にだって、どうせ奥さんがいっぱいいるんでしょう!?」
「いや、俺はまだ独身だ。側室すらいない。俺の心を一瞬でも愛しく思わせることができる乙女は、今までいなかったからね」
予想外な答えに、サフィーアはポカンとした間抜け面でシャールカーンを見上げた。
(う、そ…。この人、こんなに美人なのにまだ独身なの!?お相手の理想像がとっても高いのかな?)
「その点、君はすごいな。美しい外見だけでも十分俺をひきつけるのに……心まで愛しく思うようになってしまったら、俺は狂ってしまうかな」



