砂漠の夜の幻想奇談


「バルマキー、様…?」

「えっ、あ…はい」

ファリザードに名を呼ばれ、返事をした次の瞬間。


「あっ…!?」


勢いよくジャンプしたファリザードによりターバンを剥ぎ取られ、目を丸くするバルマキー。

ターバンに隠れていた彼の黒髪がこぼれ落ちる。


「姫!?何をなさ――」

「うん。やっぱり。思った通りだわ」


しげしげとバルマキーを眺め、ファリザードは瞳を輝かせた。

「バルマキー様」

「は、い…?」

ビクビクしているバルマキーの心情なんて知るよしもなく、ファリザードは頬を紅潮させて告白する。


「私、バルマキー様のお嫁さんになりたいです」


「は……はああっ!?」


謁見の間にいたほとんどの人間が驚きを声に出した。

「ひ、姫…お戯れを…」

「冗談ではありません。一目惚れ致しましたの。お願いします!王様はイヤだけど貴方になら嫁いでもいい!いえむしろ嫁ぎたい!」