砂漠の夜の幻想奇談


大勢の、しかも嫁ぎ先の王の眼前で啖呵を切ったファリザード。

彼女の本音を知り、シャールカーンはしばし目を瞬かせていたが、やがて余裕の表情を見せて口角を上げた。


「姫の思いはわかった。帰りたければいつでもカイサリアへ帰るといいよ」

「え!?」

予想外の言葉に、ファリザードは驚きを隠せずシャールカーンを見る。

「けれど、長旅でさぞお疲れでは?慌てず、ゆっくりしていくといい。バルマキー!姫を部屋へ案内せよ」

「御意。ファリザード姫、こちらでございます」

控えていたバルマキーが進み出てファリザードに道を示す。

が、ファリザードはなぜかバルマキーを見上げて固まった。

「……?如何、致しましたか?」

シャールカーンの時と同様にジーッと顔を見られ、困惑するバルマキー。

姫君が何を考えているのか全く読めなくて、冷や汗が流れる。