砂漠の夜の幻想奇談


ファリザード姫。

若い叔父に自分の紹介をしてもらい、彼女はやっと口を開いた。


「ファリザード、と申します」


その場でペこりとお辞儀する。

それからファリザードはガバッと顔を上げてシャールカーンの顔をジーッとガン見し始めた。


(どうしたのかしら…?)


急に不安が押し寄せるサフィーア。

まさかシャールカーンに一目惚れか。

「ファリザード姫?私の顔に何か…?」

シャールカーンも不思議に思ったらしい。

苦笑気味に尋ねた時だった。

いきなりファリザードが丁寧に一礼した。


「ごめんなさい、王様。貴方、私のタイプじゃありませんわ」


その場に会していた一同、唖然。


「は……?」

シャールカーンも目が点になった。


「私、もっと地味で知的でクールな大人の殿方がいいの。仕事バリバリできる冷徹タイプが理想ですわ。甘いマスクなんかいらないから涼しげな眼差しで見下されたい…。そんな願望を、王様は叶えて下さいますの…!?」

「え……いや…あの…」

ビシッと指を差され、たじろぐシャールカーン。