砂漠の夜の幻想奇談


「サフィーア!急いで支度をしてくれ!」


(支度?なんの?)


突然やって来て何事か。

するとシャールカーンは息を落ち着かせながら詳細を述べた。


「カイサリアの姫君が来たんだ。今から謁見の間へ俺と一緒に来てほしい」


(私も一緒に?シャールだけで十分なんじゃ…)


反論を書こうとしたら見事、先手を打たれる。

「横に正妃がいた方が牽制になるからね。付け上がらせないためにも、おいで」


(あう…)


シャールカーンの有無を言わせぬ「おいで」。

仕方なくサフィーアは、姫を出迎えるためにベールを纏った。

目元以外の顔と髪を覆い隠す。


「私も、お供致します」

不意にカシェルダが起き上がった。


(カシェルダ…!無茶よ!)


「どうしたんだ?カシェルダも体調不良かい?」

ここ最近の出来事についてはシャールカーンも知るところであった。

冗談半分に尋ねたら思いの外、深刻な表情が返ってきた。

「ああ……だが、平気だ。これくらいで倒れていたら、サフィーア姫付き護衛官の名折れだ」


こうして無理矢理ついて来たカシェルダを傍に控えさせ、シャールカーンとサフィーアは謁見の間にて問題の姫君と対面したのである。