砂漠の夜の幻想奇談


触れるだけの軽いキス。

すぐに唇を離したシャールカーンは彼女を抱きしめて自分も寝台に倒れ込んだ。

「君は天女(フーリー)だ。悪魔が閉じ込めて独り占めしていた清らかな乙女」

サフィーアの耳に悩ましい吐息をこぼす。

純情な少女には色気が強すぎたのか、サフィーアの頬は真っ赤だ。

「ハァ…これが夢でなければ心からアッラーを祝福するのだが…」

この言葉にサフィーアは目を丸くした。

「え?これは夢なの?」

「でないなら、遠い異国のお姫様がなぜ俺の寝室にいるのか説明がつかないよ」

「でも、夢じゃない気がするわ。ほら」

サフィーアの手がシャールカーンの頬に伸びた。

「な、何を…!っ~!」

「ね。ちゃんと触れるし、痛いでしょ?」

びにょーんと頬を引っ張られたシャールカーン。

こんなに可愛いサフィーアでなければ無礼者と叫んでたたっ切っていただろう。

「君って…意外と大胆で図々しいんだね」