砂漠の夜の幻想奇談


「え!?やっ!」

落ちてくる形の良いシャールカーンの唇を慌てて押し返す。

「何するの!?」

「だから、君に口づけたいんだよ」

「手が早い殿方なんて最低よ?」

「君だから早くなるんだ。君が美しいから、触れたくなる」

サフィーアが異国の王子に、不覚にも胸をドクンと高鳴らせたのは一瞬のこと。

無理矢理に寝台へ押し倒される現状に悲鳴を上げる。

「い、いやぁ!!助けて!カシェルダ!!」

「カシェルダ?誰のことだ?……恋人か?」

鋭くなった声にサフィーアはゴクリと生唾を呑んだ。

「カシェルダは…私の護衛官よ。とっても強いんだから!」

「ハハッ、だが俺には敵うまい。俺は幼き頃勝負した兄上以外、誰と戦おうと負けなしだからね」

「カシェルダだって王宮に来てから負けなしよ!だから私の護衛になれたのだし…あっ!」