『バキータ。今日も来たぞ』
檻に入って座り込めば、ホワイトタイガーは猫のように擦り寄ってきた。
当時、まだ然ほど大きくなかったバキータ。
だが狂暴さはこの頃から健在で、噛み付かれては大変と、王宮の人々に恐れられていた。
『お前はなんで俺にだけナツくんだろうな。ヘンなヤツ』
けれど、バキータの傍は居心地がいい。
勉強しろと喧しく怒鳴る連中や、第一王子に媚びへつらう連中なんかが寄って来れないから落ち着ける。
『こんど、中庭であそぼうな。お前もたまには外に出たいだろう?』
話し掛ければペロリと頬を舐められた。
くすぐったさにクスリと笑ってから立ち上がる。
『じゃあな。サボりたいけど、シオキが怖いからもう行くな』
サボりがバレたら食事抜きな上に鞭打ち百回だ。
殆ど奴隷に対する扱いだった。



