第一王子は「いらない子」だった。
『王様。ブドゥール王妃様の御子、ダウールマカーン王子様が謁見を求めておりますが…』
『許可するな。ブドゥールの息子に会うつもりはない』
『しかし……先程からずっと待っておいでです。少しばかり…』
『大臣、そちもわかっておろう?ブドゥールの一族は我が王家を喰らおうとしている』
『確かにブドゥール王妃様の兄君は野心がおありなご様子。警戒されるのはご最もです。ですが…』
『ブドゥールを娶ったのは表向きの友好のため。あれにも息子にもかける情けはない。王子など面倒な。生まれて来なければ良かったのだ』
夫婦間に愛情はなかった。
たった一夜の伽にて生まれた子。
それがダウールマカーンだった。
(ちちうえっ……!)
この王と大臣の会話をダウールマカーンは六歳の時に聞いてしまった。



