砂漠の夜の幻想奇談


「なっ!?いけません!お逃げ下さい!!」

「私が逃げても無意味ですよ。今宵、私が王様の寝所にいたことは後宮の管理者によって記録されています。逃げたところで、私は第一容疑者です」

「ならば、私がここに残り自害します!私の死体を大臣達に引き渡して下さい!」

心からの思いを告げれば優しく頬を撫でられた。

「私がそんなこと、できると思いますか?」

そして再び抱きしめられる。


「言ったはずよ?シャールと同じように貴方のことも愛してると」

「王妃様っ…」

「貴方が死んだら私は悲しいわ。それに貴方は護りたい人のために生きなければ」

優しい囁きと共に身体は離れた。


「私に貴方を護らせてちょうだい。毒薬を渡して?持っているのでしょう?」

微笑みを浮かべながら手を差し出す王妃。

「い、嫌です…!渡せません!」

カシェルダは顔面蒼白になり後退った。