(従順に、言ってしまいそうになる…。でも…)
自分が東ローマ帝国のコンスタンチノープルを支配するアフリドニオス王の一人娘だと知られてはいけない。
(姫だなんて、言えない…。知られたら、絶対利用されてしまう)
相手はイスラム教徒の王子。
しかもシャールカーンなのだ。
(シャールカーン王子。名前は、カシェルダから聞いたことがあるわ。頭もいいし、剣も強いことで有名だって)
そんな彼に正体をばらせば、監禁されて人質にされて祖国が滅ぼされてしまうかもしれない。
(そんなの、絶対ダメ…!)
しかしシャールカーンは頭もいいし剣も強いが、何より女性を誘惑する術に長けていた。
「サフィーア…沈黙を守るのなら、その唇…奪っても構わないかな?」



