「あら?貴方は…?王様がお呼びしたの?何用かしら」
寝ぼけ眼でそう言うと、アブリザ王妃は横たわって血を流しているオマル王を目にした。
「きゃっ――うぐっ!?」
「叫んだら殺します」
アブリザ王妃の口を手で塞ぎ、静かに脅すカシェルダ。
何と無く状況を察し、王妃はゆっくり頷いた。
「私が王を殺しました。貴女には殺害の罪を着せて毒殺する予定でしたが……やめます。貴女を殺したくはありません」
王妃の口を封じたまま一方的に喋る。
「今宵のことは他言無用に。でなければ私は貴女の息子、シャールカーンを殺します」
鋭利な刃物を潜ませた青い瞳。
そんなカシェルダをジッと見上げていたアブリザ王妃は、不意に目を大きく見開いた。
「息子が大事なら、くれぐれも愚かな真似はなさらないように」
そっと放されたカシェルダの手。
立ち去ろうとする彼の背中に、アブリザ王妃は恐る恐る呼び掛けた。



