砂漠の夜の幻想奇談



 ランプの仄かな明かりのみ燈された寝室。

シャールカーンに抱えられていたサフィーアは寝台まで運ばれ、優しく寝かされた。


(あ、えと…シャール?)


慣れた手つきでサフィーアのベールを取り払ってから自分のターバンを外すシャールカーン。

何か伝えたい気もしたが、ドキドキし過ぎて思考能力が低下する。


「サフィーア…」


のしかかってきたシャールカーンに唇、耳、首筋と順に口づけられていく。

「やっと俺のものだね」


薔薇の香りが強い。

甘く、クラクラする危険な誘惑。


「………脱がすよ」


サフィーアの瞳を覗き込みながらシャールカーンが花嫁衣装に手を掛けた時だった。



(まっ、待ってー!!)



突然、抵抗するようにシャールカーンの胸板を押したサフィーア。