(シャール…!)
恥ずかしさと緊張で俯きそうな顔を頑張って上げ、シャールカーンを真っ直ぐ見つめる。
彼は豪奢な絹張りの台座に座っていた。
(あ……)
進みながら目が合った瞬間、サフィーアは花婿の想像以上の美しさに言葉を失った。
サフィーアと同じで純白をベースにした衣装は金色の刺繍で輝くように彩られ、シャールカーンが纏うと、さながら月の王子。
胸元にちりばめられたラピスラズリの青は彼の瞳と同じ美しさを放ち、見る者に思わず甘美な溜息をつかせるほど。
「サフィーア…」
彼の唇が自分を呼ぶ。
歩みを止め、ボンヤリと見惚れていたサフィーアだったが、思い出したように再び広間を進み始めた。
ひどく長く感じた距離を歩き終え、シャールカーンの前に跪く。
すると――ふわり。
(きゃあ!?)
突如、身体を抱き上げられた。



