それからだ。
護衛本来の意味通り、サフィーアを「守る」という意識を持って任務に当たるようになったのは。
目に見える敵からだけでなく、サフィーアのことを考えて様々な悪から遠ざけるため先手を打っていく。
それは先の先の先を読んで駒を動かすチェスと似ていた。
如何にして自分のキングを護りつつ、相手を思い通りに誘導して一気に攻めいるか。
一つ手を間違えれば、たちまち盤上の戦況は狂う。
「これで本当に良かったんだろうか…。この先の姫の幸せを考えると…わからなくなってくる」
テオドールと結婚させた方がリスクは少なかっただろう。
しかし、もし十二人の兄王子達の件が失敗し、万が一にも将来サフィーアがコンスタンチノープルの女王になった場合を考えると、その時に隣で補佐するのがテオドールというのはかなり不安だ。
大臣達に頼るのもいいが、頼り過ぎると王家が下に見られ、ゆくゆくは大臣に政権を乗っ取られるだろう。
(やはり、これで良かったのか…)
シャールカーンと結婚してサフィーアは幸せいっぱい。
しかも服作りに成功し、兄王子達がコンスタンチノープルへ帰還する。
このシナオリが一番だ。
もし兄王子達がガチョウから戻れない事態になったら、恐らくアフリドニオス王が自ら選んだ優れた人物を次代の王に据えるはず。
嫁いだサフィーアが呼ばれる確率は低い。



