砂漠の夜の幻想奇談


「きゃあ!?」

足の痛みに飛び起きたサフィーアがまず目にしたものは、金髪美青年のどアップだった。

「ん、起きたか。目覚めの口づけを待てないなんて、イケナイお姫様だね」

聞き慣れないアラビア語に呆然とするサフィーア。

「へ…?え!?貴方、誰!?」

「ん?ラテン語?君はルーム人かい?」

青年は言葉をラテン語に切り替えると、探るようにサフィーアの瞳を覗き込んだ。

「ルーム…?あ、ローマ人のこと?そうよ。当たり前じゃない。それよりも、どいてくれませんか?それに…どうして私の部屋にいるの?」

困惑するサフィーアに対し、青年はのしかかったまま不思議そうに言った。

「ここは君の部屋じゃない。俺の寝室だ」

「え!?嘘!?」

慌てて辺りを見回す。