砂漠の夜の幻想奇談


(……ダマスに咲く紅の薔薇…。いや、真白の肌は真珠か)

少し傾いている少女の顔をクイッと持ち上げ、真正面から見つめる。


(……本当に夢なのか?)


意識はハッキリしているし、感触だって確かだ。


「ねえ、起きてくれないか?でないと……するよ?」

耳元で語りかけるも、少女は控えめな寝息を立てたまま。


「……仕方ないね」

小さく溜息をつくと、シャールカーンは少女に覆いかぶさり…。



「させるものか!!」

一匹の蚤が窓辺からピョーンと跳び、素早く寝台に着地した。

「やめろマイムーナ!手を出すな!」

「ええい!うるさい!」

ダハナシュがマイムーナを追っかけて寝台にジャンプするも、間に合わず。

シャールカーンが少女の唇を奪うよりも早く、マイムーナは蚤の姿で少女の足を思い切り刺した。