砂漠の夜の幻想奇談


素早くシャールカーンが兜を脱いだ。

熱情を孕んだ彼の青い瞳がテオドールの眼前に現れる。

テオドールは息を呑んだ。


すでに両者の距離は互いの腕を伸ばせば届く程に近い。


「喰らえぇえ!!!!」


近距離にて、シャールカーンは鉄の兜をテオドールの顔面に投げ飛ばした。


「ッガ…!!!!」


勢いのある鉄の塊がテオドールの頭を直撃する。


(か、兜を…!?)


初めて受けた兜投げの攻撃に呆然としつつ、衝撃に負けて鞍から転げ落ちるテオドール。


「ハァ…ハァ……」

荒い息を吐き出し、シャールカーンはジェドラーンをその場で停止させた。


「終、わった……」


カシェルダが言うには、敵の大将を落としたらその時点で馬上に残っている方の勝利が確定するとのこと。


(俺は……勝ったのか…?)


最終的に槍ではなく兜で殴ってしまったが、有りなのだろうか。

審判の判定や如何に。

シャールカーンはカムルトスのいる観客席を見上げる。