砂漠の夜の幻想奇談


「これで、決める!!」

主人の強い決意を察したのか、ジェドラーンがいなないた。

そして、走り出す。


「来ますかっ」

テオドールも馬を駆り、真っ向勝負に挑む。

徐々に近づく両者の距離。


「王子っ!?」

バルマキーが悲鳴のような声を上げた。

まさかあの槍で向かっていくとは、といった感情がその声から読み取れる。


シャールカーンは止まらなかった。

テオドールの槍が自分を叩く前に、右手の槍を高く振り上げる。

そして――。


「はあああっ!!!!」


その速さ、雷光の如し。

渾身の力をこめて投げられた槍はテオドールの頭部目掛けて一直線に飛んだ。


「うわっ!?」


まさかの槍投げにテオドールは一瞬、怯んだ。

槍でシャールカーンを突くことも忘れ、上体を動かし、放たれた矢のような槍を避ける。

スレスレだったが、テオドールは避けてみせたのだ。


(折れた槍を投げるなんて…流石シャールカーン殿)


だがこれで彼の武器はなくなった。

と思った瞬間――。