砂漠の夜の幻想奇談


しばらくの間、少女のあどけない寝顔を凝視しながら唇を触り続ける。

そんなシャールカーンを窓辺で二匹の蚤(ノミ)がこそこそと見物していた。

「おや?シャールカーンが先に手を出すか?」

「そんな!まだわからぬぞ!」

二匹の蚤とはまさにダハナシュとマイムーナ。

彼ら魔神は何にでも姿を変えることができるのだ。

二人は蚤に変じて室内の様子をうかがうことにしていた。


「俺は夢を見ているのか…?」

シャールカーンが静かに独り言を呟いた。

(そうだ。夢だろう。俺や母上よりも美しい人間なんているはずが…)


自分の美に関しては少々ナルシスト気味になるほど自信を持っていたシャールカーン。

しかし、今その自信を目の前の少女が崩そうとしている。