砂漠の夜の幻想奇談


一軍につき騎士の数は二十五人。

そして騎士一人に対し、必ずお付きの従者が一人は必要とされている。

従者は自分が付く騎士のサポートをするのが専らの仕事で、試合中、槍が折れた時に替えを持って行ったり、落馬した騎士を場外に運んだりと、意外と重要なポジションである。

シャールカーンの従者は本来ならトルカシュだが、彼も出場するためバルマキーに役目を任せた。

トルカシュには自国から連れてきた違う召使をあてがっている。

準備はバッチリだった。


「まずは一騎打ち。お手並み拝見といこうか。シャールカーン殿」

サフィーアの横でアフリドニオス王が呟いたと同時にラッパが鳴った。

ざわついていた観客席が静かになる。

青天に向かってドラムの連打が響き、それがピタリと止んだ瞬間、ルカスの従者がいち早く大声を上げた。