砂漠の夜の幻想奇談


サフィーアは王族のための特別席にいた。

両隣には父と母。

父王の右側には審判である騎士団長のカムルトスが座している。


(はう~、ドキドキするわ…!)


自分が参加するわけでもないのにサフィーアの心臓は異常なほど激しく鳴っていた。

「あっ、出て来ましたね」

母親の声に競技場内を見下ろす。

王族の席はかなり高い位置にあった。


(シャール!)


二チームに分けられた騎士達。

カシェルダの予想通り、一方のチームをシャールカーンが、もう一方をテオドールがリーダーとして率いることになった。

向かい合う両軍は離れた場所で大将を先頭にV字形に並んでおり、サフィーアにはシャールカーンとテオドールの姿がハッキリ確認できた。

鎧に身を包んではいるが、まだ彼らは兜を手に持った状態なので誰が誰だか顔で判別できる。


(言ってた通り、カシェルダとトルカシュはシャールのチームだわ。ミロンやルカスはテオドールのチームなのね)