砂漠の夜の幻想奇談


「サフィーア」

呼び掛けてから葡萄酒を躊躇いなく口に含み、愛しい少女に口づける。


(ちょっ!シャール!?)


口移しで葡萄酒を飲まされた。

後頭部を支えられ、逃げられない。

サフィーアの喉がゴクンと音を立てる。


「俺を見てて」


唇を離してからシャールカーンが耳元で囁いた。


(んっ、ひゃあ!)


甘噛みされる耳たぶ。


「こ、ここここらぁ!!サフィーア姫になんて無礼なことをっ!!」

いきなり過ぎる展開に呆然としていたテオドールだったが、ミロンに肘で突かれ我に返った。

顔を真っ赤にして怒鳴る理由は、単なる忠誠心からか、はたまた嫉妬心なのか。

恐らく本人もわかっていないだろう。

「フフ、では俺達も再開といきますか」

「望むところです!」

だがこの様子からして、テオドールの何かに火がついたのは間違いなさそうだった。