砂漠の夜の幻想奇談



 その日から試合当日まで、毎日欠かさず練習場を訪れるようになったシャールカーン達。

二日目から騎士と同じ鎧を装着して練習試合に挑み、テオドールやルカスらと何度か対戦した。

そして疲れたら決まってサフィーア達のいる木陰に集まり、軽食を取るのが日課となりつつあった。


(はい、シャール)


用意したパンとチーズをとびきりの笑顔つきで渡すサフィーア。

「ありがとう」

汗を拭きながらシャールカーンは彼女の隣に腰を下ろした。


(ふふ、どう致しまして!こっちはカシェルダのね。それから…)


「お待ち下さい!サフィーア様自らお配りなさらずとも、そのようなことは私が致しますっ」

何でも自分でやってしまう女主人を、慌ててドニヤが制す。

しかしサフィーアは自分の腕にバスケットを抱えると、カシェルダやトルカシュ、さらには一緒に休憩しに来たテオドールやミロンにまで配り始めた。

「サフィーア姫、感謝致します」

「ありがとう、姫様」

受け取ってからテオドールとミロンが一礼する。


(どう致しまして!)


明るく微笑んだら、顔を上げたテオドールと目が合った。