砂漠の夜の幻想奇談


この言われようにダハナシュがピクリと反応した。

「…そこまで言うなら、姫を連れて来ようか?」

「何?」

「サフィーア姫を俺がここダマスまで運んでこよう。そしてシャールカーンと会わせるんだ。どちらが先に相手の美の虜になるか、賭けようじゃないか」

この提案にマイムーナはニヤリと口元を歪めた。

「フン!いいだろう。賭けようではないか。姫が先に屈しなかった時は、お前の望みを一度だけ無条件で聞いてやろうぞ!」

声高に宣言して不敵に笑う。

「まあ、我が慕う美の王子が小娘ごときに虜になるなど、ありえないがな」

「フッ…冗談。姫が勝つさ。負けたら俺は貴女の下僕となろう」

「よかろう。さっさと小娘を連れて参れ!」


こうして、シャールカーンとサフィーアは月の綺麗な夜、運命的な出会いを果たしたのだった。