砂漠の夜の幻想奇談


実際に先程、盾ごと吹っ飛ばされていた騎士を目にした。

シャールカーンはニヤリと笑い「成る程」と繰り返す。


「さて、後は実践あるのみだな。今日は鎖帷子も鎧もないから、軽く突く程度にするぞ」

盾の裏側についている革帯に腕を通し、盾を利き腕と逆の腕に装着する。

初心者二人が馬に乗ったのを見てから、カシェルダは彼らに槍を渡した。

そして自分も黒馬に跨がる。


「本気で来てもいいよ」

「阿呆。本番前に怪我したらどうする」

ノリノリなシャールカーンを呆れた様子で睨みつけ、カシェルダは手綱を握った。

「俺は一人でいい。二人同時にかかって来い」

「へえ、余裕だね。なら遠慮なく行こうか。トルカシュ!左に回れ!」

「はっ!」

指示通りトルカシュがカシェルダの左側へ、シャールカーンが右側へ馬を走らせる。

「挟み撃ちか。まあ、無難な手だな」

カシェルダはお見通しだったのか、ニヤリと笑んだ。