砂漠の夜の幻想奇談


ペラペラと褒めちぎるダハナシュ。

彼は続けてこう言った。

「俺は毎夜、このサフィーア姫を眺めにコンスタンチノープルまで行っている。己の官能を楽しませるには彼女が一番だ。だがしかし、アッラーに誓って言う。俺は姫に手を出してはいない。まあ、彼女に乗って快楽を堪能する誘惑に掻き立てられないわけじゃないが…。欲望が溢れ酷くしてしまう自信があるから、眠る姫のまぶたに口づけるだけで満足するよう心掛けているんだ」


ようするに、サフィーアにべた惚れ。

満足げにサフィーアに対する愛を話し終える覗き魔ダハナシュ。

そんな彼にマイムーナはビシッと指を突き付けた。

「納得いかぬ!その小娘の方が魅力的だと!?たわけが!よいか!?お前の贔屓する姫がもしあの方を見たら、すぐさま心を奪われ愛の奴隷と成り果てるだろうよ!」