砂漠の夜の幻想奇談


絶対などと言い切られては、ますます腹立たしくなる。

「その小娘はどのように美人なのだ!言ってみよ!」

マイムーナの吐き捨てるような命令に、ダハナシュは楽しそうな口ぶりで語り始めた。


「姫の美は完全であり絶対。俺の舌では全てを伝えきれないことが口惜しい。しかしあえて言うならば……まずは滑らかで艶やかな漆黒の髪。それに満月のごとく白き顔。頬は葡萄酒のように緋色で、その唇は瑪瑙と珊瑚からなる創造主の傑作品だ。姫の唾液は蜜よりも甘く、舌は爽やかな弁舌を誇る。そして、胸は生ける誘惑。象牙造りの肌を形作る腹には窪みがあり、そこからは華奢な腰…それからこの身が震える程素晴らしい尻が…。太ももは二本の白大理石で、小さ過ぎる足は思わず口づけずにはいられない程に愛らしい」