砂漠の夜の幻想奇談


大柄で坊主頭のルカスは騎士団長が行ってしまうとカシェルダを睨みつけた。

「テメー、生きてたんだな」

恨みのこもった眼差しがカシェルダに注がれる。

「生憎と、しぶといからな」

「ケッ、あのまま行方不明になってりゃいいものを」

ルカスは野太い声で悪態をついた。

「別に俺がいてもいなくても、お前に関係ないだろ」

「関係あるさ!テメーのせいでオレは迷惑してんだよ!ったく…なんで父上はこんな野郎を拾っちまったんだチクショー」

ルカスは先程の騎士団長カムルトスの息子だ。

カシェルダもカムルトスの息子だが、彼の場合は養子である。

ある月夜の晩、路頭をさ迷っていたカシェルダを発見して連れ帰ったのが騎士団長カムルトスだったのだ。

「どこの馬の骨かもわかんねぇテメーを、サフィーア姫もよく自分の護衛にできるよな」

「貴様が姫を語るな。虫ずが走る」