砂漠の夜の幻想奇談


「カシェルダ、この都には君よりもバカしかいないんですから無茶を言わないで下さい。そんなことを言っていたらサフィーア姫は一生独身です。それこそ悲劇!姫が憐れ過ぎます」


「……お前、いい性格してるな。愛すべきバカだ」

「君の愛はいりません。姫の愛だけで間に合っています」

どうやらカシェルダの罵りには全く応えていないようだ。

ある意味うらやましい性格である。


これ以上何を言っても無駄だと悟り、カシェルダは食事に意識を持っていった。

パンをスープに浸して食べ始める。

と、その時――。


「カシェルダ!戻っていたのか!」

ドカドカと大股で近寄ってきたガタイのいい壮齢の男性。

「騎士団長!」

カシェルダは反射的に立ち上がった。