砂漠の夜の幻想奇談



 大広間に灯る炎。

灰色の石壁には赤や緑のタペストリーが飾られ、広間の中央には片付けてあった木製の長テーブルが並べられる。

晩餐の始まりだ。


サフィーアは王族が座る壇上の席に腰掛け、大広間を見渡した。


(シャールはどこかしら?……あ、カシェルダがいる)


目の前には騎士や召使達が食事をする二つの長テーブルが、サフィーアに対して垂直に並んでいる。

そこにカシェルダが座っていた。

シャールカーンはいない。

再びキョロキョロしていると、大広間の出入口から供を従えたシャールカーンが現れた。


(あ!シャール!)


顔を見れた喜びに瞳が輝く。

シャールカーンはトルカシュやバルマキー、ドニヤ達を従えたままサフィーアのいる王族の席までやって来た。