「サフィーア姫に限ってそんな…!いや、だがしかし!たとえ忘れられていようとも僕は…!」
「はいはい。その暑苦しい思いは歌で伝えてねー。これなんてどうよ」
ミロンは恋歌集の中から詩を読んだ。
「“囀る小鳥はナイチンゲール。菩提樹の木陰。私と貴方の寝床があった場所は、花も草もすっかり折れて…”」
「それが恋歌?意味がわかりません。単に二人の人間が木陰で寝っ転がっただけでしょう?」
途中で首を傾げ始めたテオドールを見て、ミロンはピタリと音読を止めた。
そして鈍い親友を睨む。
「あ~の~さ~。マジで言ってんの?それ」
「はい。大マジです」
「オレが恥を忍んで一から十まで解説しなきゃダメな感じ?」
「はい。ダメな感じです。お願いします先生」
本当にわかっていないらしい。
真剣に教師の話を聞こうとする生徒の表情でミロンを見つめる。
「……ヤメよう。これはヤメ。もっとド直球なやつにしよう」



