砂漠の夜の幻想奇談


「おお!なるほど」

「おお!じゃないよ。気づけっての、自分で」

やれやれと息を吐き出し他の本を手に取る。

ミロンは山積みになっている本の中から良さそうなものをいくつかピックアップした。

「でもさ、テオは本気で姫様好きなわけ?」

開いたページに目を通しながら、ふとした疑問を尋ねる。

と、素直な答えが返ってきた。

「はい。好きですよ」

「ふーん。なんで?はとこなのは知ってるけどさ。接点あったっけ?」

「いえ。接点はほとんどありませんね」

いとこならまだしも、はとことなると縁が遠い。

せいぜい、たまに開かれる祝いの席などで顔を合わせる程度だ。

「ですが過去に一度だけ、サフィーア姫に声をかけられたことがありまして」

「は!?マジで!?」

「はい」

驚くミロンに笑みを向け、テオドールはその時のことを語り始めた。