砂漠の夜の幻想奇談


「それだけテオドールが強いということだ。あの男は騎士で、馬上槍試合の名手だからな」

「そうか。俺がジェドラーンに乗ったところで相手にはハンデにもならないか」

「いや。別にそういう訳じゃない。むしろ俺個人の意見としてはこの勝負、お前に勝って欲しいからジェドラーンを使えと言っているんだ」

予想外なカシェルダの発言に、シャールカーンだけでなく周りの臣下達も目を点にした。

「は…?意味わかってるのかい?俺が勝つってことは、サフィーアは俺のものってことだよ?」

「………凄まじく不本意だがな。しかし、テオドールが姫の夫になるくらいならっ…」

「……なんだ?テオドールって野郎、なんかヤバイ奴なのか?」

カシェルダにここまで言わせるテオドールとは何者か。

トルカシュが恐る恐る問い掛ける。

「頭がキレそうな…真面目そうな男に見えたけれど…」

シャールカーンが相手の人相を思い出して言えば、カシェルダがそれをズバッと言葉で一刀両断。

「見た目に騙されるな。確かに奴は腕っ節は強いし、性格も真面目で好感が持てる。だがな」

情報通な姫の護衛官は語る。


「あいつは正真正銘のバカだ」