砂漠の夜の幻想奇談


綺麗な笑顔でバルマキーは語る。

「あんな薄汚い地下牢で生活するなど真っ平御免でしたからね」

「う~わ~。言ったよ、こいつ」

トルカシュが向けてくるジト目を軽く無視してバルマキーはシャールカーンに話し掛けた。

「私のことより、王子。どうなったのですか?アフリドニオス王とはどのようなお話を?」

「そうですよ!俺も知りたいです!会話がラテン語だったから半分も聞き取れなくて…」

トルカシュの意見には傍に控えていたドニヤも頷いた。

連れて来た者の中でラテン語が理解できる召使は少ない。


「テオドールという男と勝負することになった。種目はチェス、詩の吟唱、それから馬上槍試合だ」

「なーんだ!楽勝じゃないですか王子!全部得意ですよね」

カラカラと笑うトルカシュを横目にシャールカーンは溜息をついた。

「安易に考えるな。相手の実力がわからない」