清潔感は漂うが、案内された客室は夏だというのに寒々しかった。
「殺風景な部屋だな~」
飾り気のない室内を見て一言。
そんなトルカシュの独り言に答えたのはカシェルダだった。
「文句を言うな。ちゃんと掃除されてるんだ。有り難く思え」
「へいへい。てか、バルマキー。よく生きてたな。しかも全然ゲッソリしてねーし」
「俺も驚いたぞ。てっきり地下牢にいると思っていたんだが、西塔の客間にいたなんてな」
カシェルダの言葉を聞くとバルマキーは目を細めて笑った。
「フ、どこかのチビと違って私は頭の中が空っぽではありませんからね」
「おい。どこかのチビって俺のことか?」
自覚はあるがとりあえず尋ねてみるトルカシュ。
「アフリドニオス王は詩を愛すると小耳に挟んだもので、地下牢で歌っていたのですよ」
「おい!無視すんなよ!」
「そしたら計算通り、私の歌声を聞き付けた兵士が王に報告しまして、王の前で歌うことになりました」
ニコリと笑うバルマキー。
続きを聞かずともカシェルダは察した。
「で、気に入られたと」
「その通りです」



