砂漠の夜の幻想奇談


挑発的な微笑。

両者の反応を確かめる。

「異論はあるか?」

シャールカーンは不敵に口角を上げた。

「ございません。その勝負、謹んでお受け致します」

「僕も、同じです」

遅れてテオドールが答える。

「よし。ならば明日の午前にチェスを、午後に詩の吟唱を行う。馬上槍試合は一週間後だ」

王が今後の予定を発表したところでカシェルダが戻ってきた。

後ろにはバルマキーの姿が。


「バルマキー!無事か!?」

「はい。王子」

満面の笑みを浮かべるバルマキーは無傷な上、かなりピンピンしている。

死なない程度に痛め付けられているかと思いきや、どうやら心配なさそうだ。


「カシェルダ。シャールカーン殿を部屋に案内せよ。この都にいる間は客人として持て成すゆえな」

「御意っ」

カシェルダは一礼するとシャールカーンに向き直った。

「こっちだ。ついて来い」

そう言って廊下へと歩き出す。

シャールカーンは素直に従った。

流れでサフィーアも一緒について行こうとするが――。


「サフィーア!こちらへおいでなさい」


王妃様の声がした。


(母上…)


自分を手招く姿を見て立ち止まる。

すると気づいたシャールカーンがコソッと耳打ちした。

「母上は大事にした方がいいよ。行っておいで」

積もる話もあるだろう。

再び背中を押され、サフィーアは母親のもとへ。

見届けてからシャールカーンはカシェルダを追った。