砂漠の夜の幻想奇談


「初めまして。シャールカーン・イブン・オマル・アル・ネマーンと申します。貴方がたの上に平安がありますように」

シャールカーンは白いターバンを手に抱えると、美しい金の髪をさらけ出して優雅にお辞儀をした。


途端、ザワリ――。


シャールカーンの後ろに控えている召使達がどよめく。

「お、王子…!ターバンを取るなんて…」

トルカシュが咎めるような声を出した。

「黙れトルカシュ。控えろ」

強い口調で命令すれば、渋々一歩後ろに下がる。


(どうしたのかしら?シャールがターバンを取ったらいけないの?)


意味がわからないサフィーアは一人、首を傾げた。


「話は聞いている。バグダードの王子シャールカーン殿」

アフリドニオス王が真っ直ぐシャールカーンを見据える。

その目つきは相手の腹の中を探ろうとするものだった。