砂漠の夜の幻想奇談


カシェルダが行ってしまうとシャールカーンはサフィーアから手を放した。

もう両親の腕に飛び込んでいいのだろうかとオロオロするサフィーアを見て、ふわりと笑う。

「行っておいで」

ポンと押される背中。

サフィーアはシャールカーンの言葉に甘えて駆け出した。

そして、父と母の腕にギュッと抱き着く。


(帰って来たわ!父上!母上!)


「ああ!私の可愛いサフィーア!」

王妃様が娘をきつく抱きしめる。

「サフィーア!お前という子はっ!」

厳しい顔をする父王。

けれど、それもほんの一瞬。


「無事で、良かった…」

安堵した表情で髪を優しく撫でられる。


(心配かけてごめんなさい…)


心の中で謝っていると、不意にシャールカーンの声がした。

「アフリドニオス王、並びに王妃様」

呼びかけながら、彼は自分のターバンを外す。