砂漠の夜の幻想奇談



 アーチ型の天井。

ドームのような大広間は、夏の季節だというのに石壁のおかげでヒンヤリとしていた。


「サフィーア!!」


その広間で今か今かと娘の帰還を待っていたのは、誰あろうこの城の王様と王妃様だ。


(父上!母上!)


シャールカーン達と共に大広間へ通されたサフィーアは、久しぶりに会う両親の顔を見て彼らのもとへ駆け寄った。

はずが…。


(ふえ!?)


ガシリと首根っこを掴まれた。

「まだダメだよ」

犯人はこの方、シャールカーン。


(な、何するのシャール~!!放して~!)


ジタバタするサフィーアを横目に、シャールカーンがアフリドニオス王に向き直る。

「我が娘を放してもらおうか」

「ならば、私の送った使者を解放して頂きたい」

シャールカーンの要求を聞き、サフィーアの父はフッと笑った。

「良かろう。カシェルダ」

「ここに」

広間の隅にいたカシェルダがスッと王の傍に寄る。

「バルマキーという男をここへ連れて来なさい。彼は西塔にいる」

「御意」