砂漠の夜の幻想奇談



 行列を作って街の中を進む。

先頭は愛馬ジェドラーンに乗ったシャールカーン。

サフィーアは召使達が持ち上げる輿に乗り込み、その後ろを運ばれていた。


(シャール、お馬さんも連れてきてたんだね)


当初の予定では、ジェドラーンは留守番のはずだった。

しかし、なぜかカシェルダが「連れて行け」と強く勧めたため、わざわざ船に乗せたのだった。

シャールカーンには今なお、カシェルダの意図がよくわからない。

移動手段としてなら現地で適当な馬を調達すればいい話だ。

ジェドラーンでなければいけない何かがあるのだろうか。

頭の片隅で考えつつ、シャールカーンは間近に迫った城を見上げた。


「何者だ!」


城門前にて、門番の兵士が鋭い声を投げつける。

シャールカーンは手綱を引き、愛馬を停止させた。


「我が名はシャールカーン・イブン・オマル・アル・ネマーン!アフリドニオス王にお会いしたい。開門せよ!」


カシェルダを先にやったおかげか、直ぐさま門は開かれた。

城内に向かって颯爽と馬を駆る。

その堂々とした姿は、まさしく一国の王子に相応しかった。