砂漠の夜の幻想奇談



「忘れない」


不意に聞こえた声は強い熱を孕んでいた。


「忘れないよ。ノーズハトゥ。君にとって、とても残酷かもしれないけれど」


「王、子……」


耳を疑い、泣き顔のまま上向く。

シャールカーンと視線が絡んだ。

自身の驚いた顔がシャールカーンの瞳に映っている。


忘れないと、言ってくれた。

「とんでもございません…。ありがとうございます…」

涙がこぼれ、再び俯く。


否定されたくなかった想い。

受け入れられずとも、彼はこの想いを認めてくれた。

もう、それだけで十分だった。