砂漠の夜の幻想奇談



「ダメぇえ!!!!!」


ガシャンと派手な音が響く。


「ノ、ノーズハトゥ!?何をっ!?」


間一髪。

彼が中身を飲む前に、ノーズハトゥがシャーベットの容器を奪い、叩き割った。


「ごめんなさい!ごめんなさい…!!!!」


ノーズハトゥは泣いていた。

シャールカーンの胸に縋り、子供のように泣き叫ぶ。

「ノーズハトゥ…?」

訳がわからず、彼女の肩をそっと抱くシャールカーン。

すると、長い間密かに募らせていた想いをノーズハトゥが吐き出した。


「好きなんです…!!ただ、貴方が好きな、だけなんです…!!」


殺すことさえもできない。

どうしようもなく、彼が愛しい。


「ごめんなさい…ごめんなさい…!!王子っ……好きです」


謝りながら恋心を告げる彼女はとても痛々しく、シャールカーンの胸を締め付けた。