砂漠の夜の幻想奇談


「……サフィーアといる時間が減る…。それには少し……こう、イラッと」

なんだ、やはり気にしているんじゃないか。

そう言って軽く笑えればどれだけ良かったか。


「そう…ですか…」

今のノーズハトゥには、この返事が精一杯だった。

「シャールカーン王子は…サフィーア姫のことが、とてもお好きなのですね」


(何を言っているの?私は…)


震える声で、話題にしたくもない女の名を出して。


「ああ。好きだよ」


とびきりの笑顔を見せるシャールカーン。

ノーズハトゥの胸がズキンと痛む。


「どんなところが…お好きなのですか?」

「笑顔。それから、仕種に瞳に、意志の強さ」

語る彼はとても楽しそうで。

「強いのに、時々弱くて…庇護欲を刺激されるんだ」

「まあ……では、しっかり護ってあげなくてはいけませんね」

「もちろんだ」

その綺麗な笑顔を見せてくれるから、苦しい話題を止められない。