(サフィーア姫はとてもいい子…。会って…目を見て…そう、感じたわ)
この少女にならシャールカーンを任せても大丈夫。
そう思う反面、嫉妬の情も溢れ出す。
そして、その醜い心を抑え込もうとして理性が悲鳴を上げる。
先程も、街でサフィーアを抱きしめるシャールカーンを目の当たりにし、意識を失うほど衝撃を受けた。
意図せず見せ付けられる苦しさ、辛さ。
まだ、笑って見過ごせるほど大人じゃない。
(苦しい…!いっそ、恋心など棄てられればいいのに…!!)
泣きたくなった。
けれど、彼に告白もできない自分には、恋に敗れた悲劇のヒロインを気取って泣く資格すらないと言い聞かす。
不意に、キュッと手を握られた。
「大丈夫ですか?もう少し眠って下さい。まだ顔色がすぐれません」
カンマカーンだった。
心から身を案じてくれる未来の夫。



