砂漠の夜の幻想奇談



(知らなかったわ!)


驚きを隠せないサフィーアを見つめ、ルステムは自分の愛しい姫君を思い出した。

彼女も知らされた当初、同じくらい驚いていた。

「急な話で、姫自身も戸惑っていらっしゃいます。まさかゾバイダ王妃様の進言でこんなことになるとは…思いもしませんでしたから」

「ゾバイダ王妃の進言…?どういうことかしら」

「はい。カンマカーン王子に良き妻をと、ゾバイダ王妃様が進言なされたところ、王様によってノーズハトゥザマーン姫が選ばれたのです」

アブリザ王妃でさえも知らなかった裏事情。

「おそらく、シャールカーン王子のご寵姫の噂を聞いて焦ったのでしょう。ゾバイダ王妃様には対抗意識がございますから」

「確かに」と納得し、苦笑する聞き手の二人。


「しかし……妙なのです」

ルステムは表情を曇らせた。