砂漠の夜の幻想奇談



 談笑を楽しむための居間では、シャールカーンとサフィーアの帰りをアブリザ王妃が今か今かと待っていた。

「シャール、サフィーア姫。お帰りなさい」

「母上!いらしてたのですか」

母アブリザに席を勧めてからシャールカーンも長椅子に寄り掛かる。

彼の膝にはもちろんサフィーア。

もう逃げ出さないようにと、シャールカーンが後ろからガッチリ抱きしめる。

「あらあら」

密着した二人を見て王妃はクスクス笑った。

微笑ましいものを見つめる眼差しだ。


「サフィーア様!ご無事で!?」

サフィーアが戻ったと聞き付け、ドニヤが駆けてきた。

後ろにはトルカシュの姿もある。


(大丈夫よ!心配かけてごめんなさい)


紙に書いたものをシャールカーンに代読してもらい、ドニヤ達を安心させる。

「良かったです…!ああ…寿命が縮む思いでした!」

ドニヤの感想に一同、クスリと笑う。

そんな、緊張感が緩んでいた時だった。