砂漠の夜の幻想奇談



(ちょ、シャール!くる、しっ!)


「心配したんだ…!良かった……無事でっ」

シャールカーンの声は震えていた。

それを感じ取り、酷く心配させてしまったと気づく。

多少の後悔と、罪悪感。


(ごめんなさい…シャール)


サフィーアもギュッと抱きしめ返す。

「黙って出て来たのに、よく居場所がわかったな」

嫌味っぽく言うダハナシュを睨みつけるシャールカーン。

「ああ。お前、警吏に追いかけられているだろう?聞いた人相がお前にそっくりだったから、だいたいの場所は特定できた」

「ほう」

感心したように納得するダハナシュの横で、唐突にルステムが叫んだ。

「姫!?お気を確かに!姫!!」

見れば、ガクリと地に崩れ、意識を手放したノーズハトゥザマーンがいた。

「ん?ノーズハトゥ?」

ここで初めてシャールカーンはいとこの存在に気づいたようだ。

「一緒にいたのか。丁度いい。共に王宮へ戻ろう」


崩れた姫は、ルステムの腕に抱きかかえられた。