砂漠の夜の幻想奇談


もう一度ダハナシュが溜息を吐き出した時だった。

「いたぞ!!あいつだ!!」

背後から騒々しい大声が聞こえた。

気になって振り返る姫と魔神。

すると、ダハナシュを指差す男性が後ろに警吏を引き連れて走ってくるところだった。

「チッ、もうバレたのか」


(え?え?ダハナシュ?何かやったの!?)


隣で舌打ちしている魔神には、どうやら心当たりがありそうだ。

「サフィーア姫、逃げるぞ」

ダハナシュは戸惑っているサフィーアをヒョイと抱き上げると、宣言通りすたこら逃げ出した。


「待ちやがれ!!」


と言われて待つ馬鹿はいない。

ダハナシュも然り。


(ダハナシュ!?何しちゃったの!?)


狭い市場の通りをダッシュするダハナシュをわけがわからず見上げていると、後方の怒鳴り声が知りたい真実を教えてくれた。


「金払え~!!この食い逃げ野郎!!」